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理科の「結果」と「考察」はどう違う?根拠を示す練習が必要な理由

理科のテストが返ってきました。
記述問題の欄に、赤ペンで×がついています。

解答例と見比べると、お子さんが書いた用語は合っています。

  • 用語は覚えたはず
  • ワークも繰り返した
  • それなのに、記述問題だけ点が取れない

こんな様子に心当たりがあれば、
原因は暗記の量ではないかもしれません。

実験結果のどこを根拠にしたのか
を、答案で示せていない可能性があります。

この記事では、
「起きたこと」と「そこから言えること」
の違いを、短い実験例で比べます。

最後に、ご家庭で使える質問を1つご紹介します。

用語の暗記に加えて、「結果のどこが根拠か」を示す練習が必要

理科の記述問題で点を取るには、
用語を覚えるだけでは足りません。

実験結果のどこを根拠にしたのかを示す練習
が必要です。

理科の答案は、次の2つに分けて考えると整理できます。

  • 起きたこと(結果):見たこと、測ったこと
  • そこから言えること(考察):結果をもとに、何が言えるか

用語は、この2つをつなぐ道具です。

道具をたくさん覚えても、
結果から考察へつなぐ練習をしなければ、
記述では使えません。

「起きたこと」と「言えること」はどう違うのか

違いは、次のとおりです。

結果 考察
中身 目で見た事実、測った数値 結果から言えること
例 「色が変わった」「質量が増えた」 「だから○○のはたらきがある」
書くとき 見たまま、測ったままを書く 結果を根拠にして、理由を書く

ここで多くの子がつまずくのが、
考察の欄に結果をそのまま書いてしまう
ことです。

大学の研究で、中学1年生32名に、
赤ワインを蒸留する実験のレポートを書かせた例があります。

考察が書けていなかった生徒のうち、
7割以上が、考察の欄に実験の結果をそのまま書いていた
と報告されています。
(1校・1つの実験での調査です。全国の傾向を示すものではありません)

この結果から、
考察の書き方が分からない生徒は、一定数いる
と分かります。

お子さんだけの問題ではありません。

短い実験例で比べる|「だ液のはたらき」

中学2年の理科で学ぶ
「だ液のはたらき」
を例にします。
(教科書にある標準的な実験をもとにした想定例です)

実験

  • 試験管A:デンプン溶液に、だ液を加える
  • 試験管B:デンプン溶液に、水を加える
  • どちらも体温ぐらいの温度に置き、そのあとヨウ素液を加える

起きたこと(結果)と言えること(考察)

内容
起きたこと(結果) Aはヨウ素液の色が変わらなかった。Bは青紫色になった。
言えること(考察) だ液を入れたAでは、デンプンがなくなっていた。だから、だ液にはデンプンを変えるはたらきがある。
根拠 AとBで違うのは、だ液の有無だけ。それなのに、ヨウ素液の色が違った。

2つの答案を比べる

次の2つは、どちらも「用語」は正しい答案です。

答案①

だ液はデンプンを分解する酵素だから。

答案②

Aだけヨウ素液が青紫色にならなかったので、だ液のはたらきでデンプンがなくなったと言える。

違いが見えるでしょうか。

  • 答案①は、知識としては正しいものの、実験結果のどこが根拠なのかが書かれていません
  • 答案②は、AとBの結果の違いを根拠に、言えることを書いています

記述問題で問われるのは、
多くの場合、答案②のような力です。

「用語を知っているか」ではなく、
「結果をもとに説明できるか」
を見ています。

結果から「言えること」と「言えないこと」

もう一つ、大切なポイントがあります。

結果から言える範囲を超えて書かないこと
です。

先ほどの実験では、ヨウ素液の結果から言えるのは
「デンプンがなくなった」
ところまでです。

「麦芽糖ができた」とまで言うには、
別の試薬(ベネジクト液など)で調べた結果が必要になります。

書き方 評価
「Aではデンプンがなくなった」 ヨウ素液の結果から言える
「Aでは麦芽糖ができた」 この結果だけでは言えない(別の実験結果が必要)

大学の学習相談でも、同じ考え方が紹介されています。

たとえば、2つのデータに有意な関係が見つからなかったとき、
「関係がない」と言い切るのではなく、
「関係があるかどうかは分からない」
とするのが正確だという例です。

知っていることを書くのではなく、結果から言えることを書く。

これが、考察の基本です。

国の資料でも、この力が課題とされています

ここまでの話は、塾だけが言っていることではありません。
国や教育委員会の資料でも、取り上げられています。

① 国立教育政策研究所は、課題と改善の授業例を一体で公開している

全国学力・学習状況調査について、
国立教育政策研究所は、授業のアイディア例を作成しています。

令和4年度からは、調査結果の課題分析と、
課題を解決する事例を、報告書の中で一体的に示す
形になっています。

つまり、調査で見えた課題と、授業での改善例がセットで公開されています。

② 授業例にも「考察」の場面がある

令和4年度の中学校理科の授業アイディア例には、
次のような場面が含まれています。

  • 課題に正対した考察を行う場面(グラフの作成を含む)
  • 予想や仮説と異なる結果が出ることを想定して、実験の計画を立てる場面

令和7年度の報告書でも、
「仮説を設定する」場面と
「観察、実験の結果を考察する」場面での
指導の工夫が紹介されています。

学校の授業でも、結果から考察する力は、
練習すべき力として扱われています。

③ 県の分析でも、記述式の課題が指摘されている

栃木県教育委員会の分析では、
観点別では「思考・判断・表現」の正答率が低く、
問題形式別では記述式の正答率が低いとされています。
(栃木県の分析で、愛知県の状況ではありません)

④ 研究でも、考察の指導が取り組まれている

中央教育審議会の答申(2016年)では、
実験結果を分析して解釈・考察し、説明することに課題がある
と指摘されています。

これを受けて、神奈川県の研究では、
「考察バーガー」という思考ツールを使い、
実験レポートの考察欄に根拠のある記述をできるようにする指導が行われました。

その結果、
根拠のある記述ができるようになった生徒が増えた
と報告されています。

公的資料から分かること

  • 結果から考察する力は、全国的に課題とされてきた
  • 学校の授業でも、練習の機会が設けられている
  • 練習すれば、根拠のある記述ができるようになる

用語の暗記だけでは届かない部分を、
練習で伸ばせる
ということです。

今日からできる「その根拠は、結果のどこ?」

では、ご家庭では何をすればよいでしょうか。
理科が分からなくても、できる方法があります。

お子さんの答案の説明に対して、こう聞いてみてください。

「その根拠は、結果のどこ?」

やり方

  1. 理科のテストやワークで、記述問題を1問選ぶ
  2. お子さんに、その答えを説明してもらう
  3. 「その根拠は、結果のどこ?」と聞く
  4. 30秒ほど待つ
  5. 返ってきた答えを、ひと言メモしておく

返ってきた答えの読み方

お子さんの返答 読み取れること 次に確認すること
「AとBで色が違うところ」と、結果の部分を指せる 根拠を結果から探せている 別の実験でも、同じように説明できるか
「習ったから」「先生がそう言ってた」 知識はあるが、結果とのつながりが未確認 結果の表やグラフを、一緒に見直す
結果とは関係のない話をする 結果の読み取りがあいまいかもしれない 「何が起きたか」を、まず言葉にする
答えられない どこから確認すればよいかが分かった状態 結果だけを声に出して読む

聞くときの3つのコツ

  • 責めない:「なんで分からないの」は禁物です。興味を持って聞きます
  • 答えを教えない:目的は、教えることではなく、様子を知ることです
  • 1回に1問だけ:続けることが大切です

第1回の「この式は何を表している?」と同じ考え方です。

「どこから、そう言えるの?」
を聞く
ことが、理解の確認になります。

暗記・計算・実験の読み取り、どこで止まっていますか?

理科で点が伸びないとき、止まっている場所は、子どもによって違います。

止まる場所 答案での様子 次に確認すること
暗記 用語が出てこない、似た用語を取り違える 用語を使って、説明できるか
計算 密度、濃度、電流などで、式が立たない・計算を間違える 「何を1と見ているか」を言えるか
実験の読み取り 用語も計算も合っているのに、記述やグラフの問題で点を落とす 「その根拠は、結果のどこ?」に答えられるか

たとえば密度は、「1cm³あたりの質量」です。

第3回でお伝えした、
「何を1と見ているか」
という考え方が、そのまま使えます。

止まる場所が違えば、必要な対策も違います。

  • 暗記で止まっているのに、実験の読み取りの練習をしても、効果は出にくい
  • 実験の読み取りで止まっているのに、用語を暗記し直しても、点は変わらない

だから、
まず、どこで止まっているのかを見極めること
が大切です。

止まっている場所を、答案から一緒に見極めます

ご家庭で
「その根拠は、結果のどこ?」
を聞いてみて、こんなふうに感じたら、ご相談ください。

  • 聞いてみたが、返答をどう判断すればよいか分からない
  • 暗記、計算、実験の読み取りの、どこが原因か見分けられない
  • 用語は覚えているのに、記述が伸びない

半田市の学習塾、雙葉進学教室では、
暗記・計算・実験の読み取りのうち、
どこで止まっているかを見極める指導
を行っています。

答案を拝見し、
「用語が足りないのか」
「計算の問題なのか」
「結果の読み取りなのか」
を確認したうえで、次に取り組むことをお伝えします。

ご相談の際は、次のものをお持ちください

  • 直近の理科のテスト答案(できれば複数回分)
  • 学校のワークやノート(あれば)

理科が苦手な場合も、点数が悪くない場合も、ご相談いただけます。

まずは、雙葉進学教室までお気軽にお問い合わせください。

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雙葉進学教室 塾長。 指導歴40年 / 教育学修士(数学教育)。 大阪・沖縄・愛知の塾、 東京の大手塾の海外校で指導。 ロンドン・NY・上海などで日本人の子どもの受験指導を経験。 現在は愛知県半田市で学習塾を運営。

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