【小5・小6の算数】「1あたり」が分かると、中学の数学・理科が楽になる理由
「3個で240円のあめ。1個はいくら?」
そう聞かれたら、
お子さんはすぐに「80円」と答えるはずです。
ところが、同じ考え方の問題が文章題になると、
とたんに手が止まります。
- 計算は合っているのに、式が立てられない
- 「どちらで割ればいいの?」と聞いてくる
- 答えは出たのに、その数が何を表すのか説明できない
こうした様子に心当たりがあれば、
今の時点で確認しておきたいポイント
があります。
それが、この記事のテーマ
「何を『1』と見ているか」
です。
中学受験をしない小5・小6のご家庭にこそ知っていただきたい、
算数と中学の数学・理科をつなぐ考え方をお伝えします。
「何を1と見ているか」が、中学の数学・理科につながる
単価や速さの問題で大切なのは、
公式を覚えることではありません。
「何を1と見ているか」
を、自分の言葉で言えること
です。
- 3個で240円なら、「1個」を1と見る
- 120kmを2時間なら、「1時間」を1と見る
- 20cm³で54gなら、「1cm³」を1と見る
この見方は、中学に入ると、
数学の比例や一次関数、理科の密度や運動など、
さまざまな場面で形を変えて登場します。
小学生のうちに「何を1と見るか」が身についていれば、
中学で新しい単元に出会ったとき、
「あ、これはあの考え方だ」
とつなげて理解できます。
3つの例で見る「1あたり」|同じ考え方でできている
「単価」「速さ」「体積と質量」。
学校では別々の単元として習いますが、
考え方は同じ
です。
例①:3個で240円(単価)
240円 ÷ 3個 = 80円/個
「1個」を1と見て、そのときの値段を出しています。
答えの「80」は、
1個あたり80円
という意味です。
比べるときにも使えます。
- 3個で240円 → 1個あたり80円
- 5個で380円 → 380÷5=76円
個数が違っても、
1個あたりにそろえれば比べられます。
この場合は、5個で380円のほうが、
1個あたり4円安いと分かります。
例②:120kmを2時間(速さ)
120km ÷ 2時間 = 60km/時
「1時間」を1と見て、
そのときに進む道のりを出しています。
答えの「時速60km」は、
1時間あたり60km進む
という意味です。
速さは、単位量あたりの大きさの一種として学びます。
「速さ」
だけを特別な公式として覚える必要はありません。
例③:体積と質量
54g ÷ 20cm³ = 2.7g/cm³
20cm³で54gの金属があったとします。
「1cm³」
を1と見ると、1cm³あたり2.7gです。
この値は、中学の理科で学ぶ「密度」と同じ考え方です。
理科の「密度」は、
単位量あたりの大きさの考え方を使った用語です。
3つの共通点
| 場面 | 1と見るもの | 式 | 答えの読み方 |
|---|---|---|---|
| 3個で240円 | 1個 | 240÷3 | 1個あたり80円 |
| 120kmを2時間 | 1時間 | 120÷2 | 1時間あたり60km |
| 20cm³で54g | 1cm³ | 54÷20 | 1cm³あたり2.7g |
どの場面でも、やっていることは同じです。
「もう一方の量を1とそろえたら、いくつになるか」を出している
計算はできても、意味が分からない?|全国調査で見えたつまずき
「うちの子は計算はできるから大丈夫」
そう思われるかもしれません。
ただ、全国学力・学習状況調査の結果を見ると、
計算できることと、意味が分かっていることは別
だと分かります。
混み具合の問題(平成30年度)
シートの面積と、座っている人数が示された問題です。
- (1)の問題(同じ面積での比較)の正答率は、87.9%
- (2)の問題(面積が違うシートの混み具合を、計算結果から判断する)の正答率は、50.3%
どちらも単位量あたりの大きさの単元の問題ですが、
(2)では約半数のお子さんしか正答できませんでした。
授業改善の報告には、児童の声として、
「どちらから割ったらいいのか分からない」
「割って出た答えが何を表しているのか分からない」
といった内容が紹介されています。
速さの問題(令和6年度)
前半も後半も分速200mで走ったとき、
全体の速さはどうなるか。
この問題の正答率は54.4%でした。
そして、2つの分速200mを足して「400」と答えた児童が
24.3%いたと報告されています。
「分速200m」が「1分あたり200m進む」
という意味だと実感できていれば、
足して400にはなりません。
※いずれも、ある年度の特定の問題の結果です。すべての子どもの傾向を示すものではありません。
つまずきの正体
算数の解説でも、つまずきの場面として次の3つが挙げられています。
- どちらで割るかを決められない
- 単位を書かないので、何を出したのか分からなくなる
- そろえないまま比べてしまう
どれも、
「何を1と見るか」
が曖昧なときに起こることです。
小学校の「1あたり」は、中学のここにつながる
「中学受験をしないから、まだ先の話」
と思われるかもしれません。
しかし、この考え方は、中学の数学・理科で何度も登場します。
| 中学の場面(想定) | 「1あたり」とのつながり |
|---|---|
| 数学:比例 | 3個240円なら、y=80x の「80」が1個あたりの値段 |
| 数学:一次関数 | xが1増えるとyがいくつ増えるか(傾き) |
| 理科:密度 | 1cm³あたりの質量 |
| 理科:運動 | 1秒あたりに進む距離(速さ) |
※単元の学年配当は、教科書や年度によって異なります。
たとえば比例の式「y=80x」を見たとき、
「80は、1個あたりの値段のことだ」
と結びつけられる子は、式の意味をつかみやすくなります。
逆に、小学校で「どちらで割るか」を暗記で乗り切ってきた子は、
中学で新しい単元に出会うたびに、また一から覚え直すことになりがちです。
今日からできる「言葉にする」習慣と、3問チェック
ご家庭でできることは、とてもシンプルです。
答えだけでなく、
「1個あたり」「1時間あたり」
を言葉にする。
日常でできる声かけの例
- スーパーで:「このパック、1個あたりいくらかな?」
- 移動中に:「今、時速何kmくらいで走ってるかな?」
- 買い物で:「5個で380円と、3個で240円、どっちがお得?」
答えが合っているかより、
「何を1と見たか」を言えているか
を聞いてみてください。
3問チェック|お子さんの「1あたり」を確かめる
次の3問を、お子さんに出してみてください。
所要時間は5分ほどです。
答えだけでなく、
「どうしてその式にしたの?」
も聞いてみてください。
問1 3個で240円のあめがあります。1個あたり、いくらですか。
問2 120kmを2時間で走る車があります。1時間あたり、何km進みますか。
問3 20cm³で54gの金属があります。1cm³あたり、何gですか。
答え 問1:80円 問2:60km 問3:2.7g
結果の見方
| お子さんの様子 | 読み取れること | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 答えも、「何を1と見たか」の説明も言える | 意味を理解している可能性が高い | 数字や条件を変えた問題で確かめる(例:5個380円と比べる) |
| 答えは合うが、説明があいまい(「割り算だから」など) | 手順は覚えたが、意味が未確認かもしれない | 「80は何を表す?」と、答えの単位から確認する |
| どちらで割るか迷う、答えが出ない | 「1と見るもの」が決まっていない可能性がある | 「何を1にしたい?」から、一緒に考える |
これは診断ではなく、
次に確認すべき場所を見つけるための目安
です。
できなくても、責める必要はありません。
「どこから確かめればいいか」
が分かったことが、前進です。
聞くときの3つのコツ
- 点数の話はしない:テストの雰囲気にしない
- すぐに答えを教えない:30秒ほど待つ
- 「どうして?」を責める口調にしない:興味を持って聞く
割る向きに迷ったときは、
求めたいものを前、「1あたり」にしたいほうを後ろにして割る
と考えると整理できます。
(例:1個あたりの値段=代金÷個数、1時間あたりの道のり=道のり÷時間)
中学受験をしない小5・小6にも、算数を深める目的があります
中学受験向けの塾は、
小3の2月から通い始めるケースが最も多いとされています。
そのため、
「受験しない家庭は、塾に通う時期ではない」
と感じる方も多いかもしれません。
ですが、受験をしない場合でも、
小5・小6の算数には大切な役割があります。
中学受験をしない小5・小6にも、
算数の理解を深める具体的な目的があります。
- 割合・速さ・比例の考え方を、中学入学までに固めておく
- 文章題で、式が何を表しているかを自分の言葉で説明できるようにする
- 中学の定期テストで、基本から応用へ進む土台を作る
中学で数学・理科が難しくなる前に、
「なぜそうなるのか」を理解する習慣
を作っておくことが、中学での学びを楽にします。
半田市の学習塾、雙葉進学教室では、公式の暗記ではなく、
「なぜそうなるのか」
を大切にした指導を行っています。
- 計算はできるのに、文章題で手が止まる
- 3問チェックをしてみたが、どう判断すればいいか分からない
- 中学に向けて、今のうちに何を確認すればいいか知りたい
そんなときは、お気軽にご相談ください。
ご相談の際は、次のものをお持ちください
- 学校の算数のテストやプリント(直近のもの)
- 3問チェックを試したときの、お子さんの様子のメモ(あれば)
まずは、個別相談・体験授業で、
お子さんの「今」を一緒に確認しましょう。




