最近、新井紀子さんの『シン読解力』という本を読みました。
新井紀子著『シン読解力』
〜『シン読解力』を読んで考えたこと〜
最近、新井紀子さんの著書『シン読解力』を読みました。
新井さんといえば、東京大学合格を目指すAI「東ロボくん」の開発で知られており、以前ベストセラーにもなった『AI vs 教科書が読めない子どもたち』の著者でもあります。
この「東ロボくん」は、最終的に東京大学には合格できませんでしたが、それでも偏差値で言うと約57まで上げることができたそうです。ですが、東ロボくんには決定的な弱点がありました。
それは、「文章を読んで意味を理解すること」ができないという点です。
AIは私たちが考えるような「人間的な思考」をしているわけではありません。たくさんのデータを処理して「最も確率の高い答え」を選んでいるだけです。
だからこそ、盤面の限られた将棋やチェスのようなゲームには強いけれど、小説や評論文の中から登場人物の気持ちを読み取るような問題には極端に弱いのです。
では、そんなAIでも偏差値57の大学には手が届くのに、人間である私たちがそれより低い成績にとどまっているのはなぜなのか?
その理由の一つとして、新井さんは「読解力の不足」を挙げています。
『シン読解力』の中でとても印象的だったのは、「読解力は教科ごとに違う」という考え方です。
つまり、国語の文章をうまく読めるからといって、理科の長文問題や数学の文章題も読めるとは限らないということです。
私自身、令和7年度の愛知県の公立高校入試の理科を見て、最初は例年と同じか、むしろ少し簡単になったかなと感じていました。しかし、実際に受験した生徒の声を聞いてみると「理科が難しかった」という意見が多かったのです。
改めて問題を見直してみると、グラフや表を読み取ったり、実験結果から規則性を見つけて推論したりと、まさに「理科の読解力」が問われる内容になっていました。
新井さんは、読解力を伸ばすには「語彙」と「経験」が土台になると述べています。
「語彙」と言っても、単なる漢字や言葉の意味だけではありません。英語なら英単語や熟語、数学なら定義や公式といった「その教科に必要な基礎知識」も語彙に含まれると考えられます。
数学が苦手な子の中には、「問題が解けない」のではなく「問題文の言っている意味がわからない」状態の子がたくさんいます。そこに気づかず、ひたすら問題演習だけを繰り返しても、成績はなかなか伸びません。
努力が空回りして、成果が出ず、やる気もなくなってしまう…。これは本当に残念な悪循環です。
「読解力が大事」という話はよく聞きますが、「どの教科に、どんな読解力が必要なのか」までは、なかなか考える機会がないかもしれません。
このブログを読んでくださった方には、ぜひ一度、お子さまの学習の様子を「読解力」という視点から見直してみてほしいと思います。
そして、もし「語彙不足かも?」「読み取れていないかも?」と気づいたら、ぜひ私たちにご相談ください。雙葉進学教室では、各教科ごとの「読み解く力」も大切にしながら、お子さま一人ひとりに合った指導を心がけています。
お子さまの学力を本当に伸ばすためには、ただ問題を解くだけでなく、「読めているか」にも注目してみてくださいね。