中3の理科で遺伝について学びますが、今年から教科書が改訂され、今まで「優性形質・劣性形質」とされていた語句を「顕性形質・潜性形質」に変更するようです。
優性形質・劣性形質というのは、同時に表れない2つの形質(対立形質)のうち両方の形質の遺伝子があるときに、実際に現れる形質を優性形質、現れない形質を劣性形質といいます。
エンドウマメの例でいうと、丸型の形質になる遺伝子をA、しわ型の形質になる遺伝子をaとすると、両方の遺伝子がある場合つまりAaという子どもができた場合、丸としわの中間の形質になるのではなく、丸の形質になるというのがメンデルの優性の法則といいます。
「優性形質」と「劣勢形質」という言葉にすると、何だか優性形質のほうが劣性形質よりも優れているかのように誤解する人が多く、それが名前の変更につながったようです。
でも本当に誤解している人がどのくらいの割合になるのか調べたのでしょうか?
もし用語が誤解を招く恐れがあるというなら、数学の「有理数・無理数」については完全に欧米語の誤訳だと思われますので、そちらのほうも変えたほうがいいのではないかと思っています。
有理数というのは、「整数の分数にできる数」のことで、無理数は「整数の分数にできない数」という意味なのですが、語句からはそれが連想できないから無理数であることの証明のときに理解に苦しむ生徒がいつも出てきます。
有理数は、「rational number」の日本語訳なのですが、ratioが割合の意味でrationalが分数にできるという意味なのに、rationalを理に適っているという意味に誤解して、「理に適っている数」ということで「有理数」になったと思われます。
でも理に適った数、理に適っていない数って言われても「なんだそれ?」ってことになりますよね。
だから有理数を理に適った数だから整数で、無理数を理に適った数ではないから分数だと思う人が多くいることになるんだと思います。
でも教科書に載っている言葉が変わるわけですから、これからは「優性形質・劣性形質」から「顕性形質・潜性形質」と書くようにと指導しないといけないですね。
教える方も日々リニューアルしていかないとすぐに時代に置いていかれそうになりますね。
「有理数・無理数」ももっといい言葉にしてほしいなとは思いますけどね・・・。